有権者が2000人のある町で、有権者400人を非復元抽出により無作為抽出したところ、候補者Aへの支持が240人であった。
有限母集団修正を行い、正規近似を用いて候補者Aの支持率 $p$ の95%信頼区間を求めよ($z_{0.025}=1.96$ とし、小数第3位を四捨五入)。
解き方
母集団の大きさを $N$、標本の大きさを $n$、標本比率を $\hat{p}$ とすると、非復元抽出の場合の母比率の信頼区間は、標本比率の分散に有限母集団修正係数 $\dfrac{N-n}{N-1}$ を掛けて次の式で近似できる。
$$
\hat{p} \pm z_{0.025} \sqrt{\frac{N-n}{N-1} \cdot \frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}
$$
標本比率は $\hat{p} = \frac{240}{400} = 0.6$。有限母集団修正係数は
$$
\frac{N-n}{N-1} = \frac{2000-400}{2000-1} = \frac{1600}{1999} \approx 0.8004
$$
なので、標準誤差は
$$
\sqrt{0.8004 \times \frac{0.6 \times 0.4}{400}} = \sqrt{0.8004 \times 0.0006} \approx 0.0219
$$
誤差の範囲は $1.96 \times 0.0219 \approx 0.0430$ なので、信頼区間は
$$
0.6 \pm 0.043 = [0.557,\ 0.643]
$$
小数第3位を四捨五入して $[0.56,\ 0.64]$ となる。
有限母集団修正の意味
非復元抽出では一度選んだ個体を二度選ばないため、標本が母集団の大きな割合を占めるほど、標本比率は母比率からずれにくくなる。極端な例として $n = N$(全数調査)なら修正係数は0になり、標本比率は母比率に一致して誤差がなくなる。
修正係数は抽出率 $n/N$ を使うと $\dfrac{N-n}{N-1} \approx 1 - \dfrac{n}{N}$ と近似でき、本問では $1 - \dfrac{400}{2000} = 0.8$ としても同じ結果になる。母集団が標本に比べて十分大きい($n/N$ が数%以下)場合は修正係数がほぼ1になるため、修正を省略して無限母集団とみなした式(修正なしの式)を使うことが多い。修正なしで計算すると $[0.55,\ 0.65]$ となり、有限母集団修正を行うと区間が狭くなることがわかる。