統計的推測(推定)

区間推定

統計検定®ドリルの「区間推定」に関する問題と解説です。全7問。

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  1. Q1 · 2級 · 暗記 · 4択

    母平均 $\mu$ に対する95%信頼区間の解釈として、最も適切なものはどれか。
    • 同じ手続きで標本抽出と区間の計算を繰り返したとき、計算される信頼区間のうち約95%が真の母平均 $\mu$ を含む、という意味である
    • 手元の標本から計算済みの区間(例えば $[46,\ 54]$)の中に、母平均 $\mu$ が入る確率が95%である、という意味である
    • 標本データの95%がその区間に含まれる、という意味である
    • 母平均は必ずその区間の中心に一致する、という意味である

    答え

    同じ手続きで標本抽出と区間の計算を繰り返したとき、計算される信頼区間のうち約95%が真の母平均 $\mu$ を含む、という意味である

    よくある誤解

    頻度論の枠組みでは母平均 $\mu$ は(未知だが)固定された値であり、確率的に変動するのは標本ごとに計算される信頼区間の方である。一度計算して値が定まった区間(例えば $[46,\ 54]$)は $\mu$ を含むか含まないかのどちらかであり、「その区間の中に $\mu$ が入る確率が95%」とはいえない。95%という値は、区間を計算する手続きを繰り返したときに $\mu$ を含む区間が得られる割合を表している。
  2. Q2 · 2級 · 計算 · 一問一答

    母分散が既知で $\sigma = 10$ の正規母集団から大きさ $n = 25$ の標本を無作為抽出したところ、 標本平均は $\bar{x} = 50$ であった。母平均 $\mu$ の95%信頼区間を求めよ。

    答え

    $[46.08,\ 53.92]$

    解き方

    $\bar{x} \pm z_{0.025}\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}} = 50 \pm 1.96 \times \dfrac{10}{\sqrt{25}} = 50 \pm 1.96 \times 2 = 50 \pm 3.92$

    注意

    母分散が未知の場合は $z$ ではなく自由度 $n-1$ の $t$ 分布を使う。 本問は $\sigma$ が既知なので $z$ でよい。
  3. Q3 · 2級 · 計算 · 一問一答

    ある母集団から大きさ $n=16$ の標本を無作為抽出したところ、標本平均 $\bar{x}=80$、不偏分散から求めた標本標準偏差 $s=8$ が得られた。 自由度15の $t$ 分布の上側2.5%点を $t_{0.025}(15) = 2.131$ として、母平均 $\mu$ の95%信頼区間を求めよ(小数第2位まで)。

    答え

    $[75.74,\ 84.26]$

    解き方

    母分散が未知の場合、母平均の信頼区間は標準正規分布ではなく $t$ 分布を用いて次のように求める。 $$ \bar{x} \pm t_{0.025}(n-1) \frac{s}{\sqrt{n}} $$
    $$ 80 \pm 2.131 \times \frac{8}{\sqrt{16}} = 80 \pm 2.131 \times 2 = 80 \pm 4.262 $$ よって信頼区間は $[75.74,\ 84.26]$(小数第2位まで)となる。
  4. Q4 · 2級 · 暗記 · 4択

    母平均の信頼区間の幅(広さ)に関する記述として、正しいものはどれか。
    • 標本サイズ $n$ を大きくすると、他の条件が同じであれば信頼区間の幅は狭くなる
    • 信頼係数を99%から95%に下げると、信頼区間の幅はより広くなる
    • 標本標準偏差が小さいほど、信頼区間の幅は広くなる
    • 信頼区間の幅は標本サイズに関係なく、常に一定である

    答え

    標本サイズ $n$ を大きくすると、他の条件が同じであれば信頼区間の幅は狭くなる

    誤差の範囲の式から見る

    誤差の範囲(信頼区間の半分の幅)は $z_{\alpha/2}\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}$ のような形で表され、標本サイズ $n$ が大きくなるほど $\sqrt{n}$ で割る効果により誤差の範囲(=区間の幅)は狭くなる。逆に信頼係数を高くする($\alpha$ を小さくする)と $z_{\alpha/2}$ が大きくなるため、区間の幅は広くなる(信頼係数を下げれば逆に狭くなる)。
  5. Q5 · 2級 · 計算 · 一問一答

    ある選挙の出口調査で、有権者400人を無作為抽出したところ、候補者Aへの支持が240人であった。なお、有権者全体の数は標本の大きさに比べて十分大きく、無限母集団とみなしてよいものとする。 正規近似を用いて、候補者Aの支持率 $p$ の95%信頼区間を求めよ($z_{0.025}=1.96$ とし、小数第3位を四捨五入)。

    答え

    $[0.55,\ 0.65]$

    解き方

    標本比率を $\hat{p}$ とすると、母比率の信頼区間は次の式で近似できる。 $$ \hat{p} \pm z_{0.025} \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}} $$
    標本比率は $\hat{p} = \frac{240}{400} = 0.6$。標準誤差は $$ \sqrt{\frac{0.6 \times 0.4}{400}} = \sqrt{0.0006} \approx 0.0245 $$ 誤差の範囲は $1.96 \times 0.0245 \approx 0.0480$ なので、信頼区間は $$ 0.6 \pm 0.048 = [0.552,\ 0.648] $$ 小数第3位を四捨五入して $[0.55,\ 0.65]$ となる。
  6. Q6 · 2級 · 計算 · 一問一答

    有権者が2000人のある町で、有権者400人を非復元抽出により無作為抽出したところ、候補者Aへの支持が240人であった。 有限母集団修正を行い、正規近似を用いて候補者Aの支持率 $p$ の95%信頼区間を求めよ($z_{0.025}=1.96$ とし、小数第3位を四捨五入)。

    答え

    $[0.56,\ 0.64]$

    解き方

    母集団の大きさを $N$、標本の大きさを $n$、標本比率を $\hat{p}$ とすると、非復元抽出の場合の母比率の信頼区間は、標本比率の分散に有限母集団修正係数 $\dfrac{N-n}{N-1}$ を掛けて次の式で近似できる。 $$ \hat{p} \pm z_{0.025} \sqrt{\frac{N-n}{N-1} \cdot \frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}} $$
    標本比率は $\hat{p} = \frac{240}{400} = 0.6$。有限母集団修正係数は $$ \frac{N-n}{N-1} = \frac{2000-400}{2000-1} = \frac{1600}{1999} \approx 0.8004 $$ なので、標準誤差は $$ \sqrt{0.8004 \times \frac{0.6 \times 0.4}{400}} = \sqrt{0.8004 \times 0.0006} \approx 0.0219 $$ 誤差の範囲は $1.96 \times 0.0219 \approx 0.0430$ なので、信頼区間は $$ 0.6 \pm 0.043 = [0.557,\ 0.643] $$ 小数第3位を四捨五入して $[0.56,\ 0.64]$ となる。

    有限母集団修正の意味

    非復元抽出では一度選んだ個体を二度選ばないため、標本が母集団の大きな割合を占めるほど、標本比率は母比率からずれにくくなる。極端な例として $n = N$(全数調査)なら修正係数は0になり、標本比率は母比率に一致して誤差がなくなる。
    修正係数は抽出率 $n/N$ を使うと $\dfrac{N-n}{N-1} \approx 1 - \dfrac{n}{N}$ と近似でき、本問では $1 - \dfrac{400}{2000} = 0.8$ としても同じ結果になる。母集団が標本に比べて十分大きい($n/N$ が数%以下)場合は修正係数がほぼ1になるため、修正を省略して無限母集団とみなした式(修正なしの式)を使うことが多い。修正なしで計算すると $[0.55,\ 0.65]$ となり、有限母集団修正を行うと区間が狭くなることがわかる。
  7. Q7 · 2級 · 暗記 · 4択

    正規母集団から大きさ $n$ の標本を無作為抽出し、不偏分散 $s^2$ を得た。自由度 $n-1$ のカイ二乗分布の上側 $\alpha$ 点を $\chi^2_{\alpha}(n-1)$ と表すとき、母分散 $\sigma^2$ の95%信頼区間として正しいものはどれか。
    • $\left[\dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.025}(n-1)},\ \dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.975}(n-1)}\right]$
    • $\left[\dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.975}(n-1)},\ \dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.025}(n-1)}\right]$
    • $\left[\dfrac{s^2\,\chi^2_{0.975}(n-1)}{n-1},\ \dfrac{s^2\,\chi^2_{0.025}(n-1)}{n-1}\right]$
    • $\left[s^2 - 1.96\sqrt{\dfrac{s^2}{n}},\ s^2 + 1.96\sqrt{\dfrac{s^2}{n}}\right]$

    答え

    $\left[\dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.025}(n-1)},\ \dfrac{(n-1)s^2}{\chi^2_{0.975}(n-1)}\right]$

    区間の導き方

    正規母集団からの標本では、統計量 $\dfrac{(n-1)S^2}{\sigma^2}$ が自由度 $n-1$ のカイ二乗分布に従う。したがって $$ P\left(\chi^2_{0.975}(n-1) \le \frac{(n-1)S^2}{\sigma^2} \le \chi^2_{0.025}(n-1)\right) = 0.95 $$ が成り立つ。
    括弧の中の不等式を $\sigma^2$ について解く。各辺の逆数をとると不等号の向きが逆になるため、 $$ \frac{(n-1)S^2}{\chi^2_{0.025}(n-1)} \le \sigma^2 \le \frac{(n-1)S^2}{\chi^2_{0.975}(n-1)} $$ となる。下限の分母には大きい方の上側2.5%点 $\chi^2_{0.025}(n-1)$ が、上限の分母には小さい方の上側97.5%点 $\chi^2_{0.975}(n-1)$ が入る。この2つを取り違えると、下限が上限より大きくなってしまう。

    区間の非対称性

    カイ二乗分布は正規分布と異なり左右非対称な分布であるため、母分散 $\sigma^2$ の信頼区間も標本分散を中心に左右対称にはならない点が、母平均の信頼区間との大きな違いである。

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