相関と回帰

回帰診断法

統計検定®ドリルの「回帰診断法」に関する問題と解説です。全6問。

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  1. Q1 · 2級 · 暗記 · 4択

    回帰分析において、残差(実測値と予測値の差)を予測値に対してプロットしたグラフ(残差プロット)から確認できることとして、最も適切なものはどれか。
    • 残差にパターンがないか、モデルの仮定(直線性・等分散性)が妥当かどうか
    • 目的変数と説明変数との相関係数の正確な値そのもの
    • 決定係数 $R^2$ の正確な数値そのもの
    • 説明変数どうしの相関の強さそのもの

    答え

    残差にパターンがないか、モデルの仮定(直線性・等分散性)が妥当かどうか

    残差プロットの見方

    モデルの仮定が満たされていれば、残差は予測値の大小に関わらず0の周りにランダムにばらつくはずである。 残差に規則的な曲線状のパターンが見えれば直線性の仮定に問題がある可能性が、予測値が大きくなるにつれてばらつきが広がる(漏斗状になる)なら等分散性の仮定に問題がある可能性が疑われる。
  2. Q2 · 2級 · 暗記 · 4択

    回帰分析における誤差項の等分散性の仮定の説明として、正しいものはどれか。
    • 説明変数の値に関わらず、誤差項の分散が一定であるという仮定
    • 目的変数の値が常に一定の範囲に収まるという仮定
    • すべての説明変数の分散が互いに等しいという仮定
    • 残差の平均が必ず0になるという仮定

    答え

    説明変数の値に関わらず、誤差項の分散が一定であるという仮定

    破れるとどうなるか

    等分散性が満たされない状態を「不均一分散」と呼ぶ。 この場合でも、誤差項の期待値が0であるなど他の仮定が満たされていれば、最小二乗法による回帰係数の推定量は不偏性を保つ。一方で、分散が最小の線形不偏推定量(最良線形不偏推定量、BLUE)ではなくなるうえ、通常の公式で求めた標準誤差が偏るため、係数の有意性検定や信頼区間の結果が信頼できなくなる。残差プロットで予測値に応じてばらつきの大きさが変化する(漏斗状になる)場合に疑われる。
  3. Q3 · 2級 · 暗記 · 4択

    回帰分析における外れ値が、最小二乗法による回帰係数の推定に与える影響についての説明として、正しいものはどれか。
    • 最小二乗法は残差の二乗を扱うため、外れ値の影響を強く受けやすい
    • 最小二乗法は外れ値の影響を全く受けない頑健な(ロバストな)方法である
    • 外れ値が含まれていても決定係数は必ず大きくなる
    • 外れ値の影響は説明変数の数が多いほど小さくなる

    答え

    最小二乗法は残差の二乗を扱うため、外れ値の影響を強く受けやすい

    外れ値に敏感な理由

    最小二乗法は残差を二乗して和をとるため、他の点から大きく外れた点ほど二乗誤差への寄与が大きくなり、その点に引っ張られる形で回帰直線が歪みやすい。特に説明変数の値自体が極端な外れ値(てこ比が高い点)は、回帰係数の推定への影響が大きくなりやすい。
  4. Q4 · 準1級 · 暗記 · 4択

    重回帰分析において、説明変数間の多重共線性の程度を確認するためによく用いられる指標として、代表的なものはどれか。
    • VIF(分散拡大要因)
    • 決定係数 $R^2$
    • ダービン・ワトソン比
    • 回帰係数の標準誤差そのもの

    答え

    VIF(分散拡大要因)

    VIFの考え方

    ある説明変数 $x_j$ について、残りの説明変数で $x_j$ を回帰したときの決定係数を $R_j^2$ とすると、VIFは次の式で定義される。 $$ \mathrm{VIF}_j = \frac{1}{1 - R_j^2} $$ $x_j$ が他の説明変数でよく説明できる($R_j^2$ が1に近い)ほどVIFは大きくなり、多重共線性が強く疑われる。目安として10前後を超えると注意が必要とされることが多い。
    なぜこの形になるのかは、「$x_j$ の変動のうち、回帰係数 $\hat{\beta}_j$ の推定に使える部分はどれだけか」を考えるとわかる。 重回帰では、$\hat{\beta}_j$ は「他の説明変数を一定にしたときの $x_j$ の効果」を表す。そのため推定の手がかりになるのは、$x_j$ の変動全体ではなく、「他の説明変数では説明できない、$x_j$ に固有の変動」だけである。$x_j$ の変動全体(偏差平方和)を $S_{jj}$ とすると、他の説明変数で説明できる割合が $R_j^2$ なので、固有の変動は $S_{jj}(1 - R_j^2)$ になる。
    回帰係数の推定量の分散は、手がかりになる変動が小さいほど大きくなる(単回帰で $\hat{\beta}$ の分散が $\sigma^2 / S_{xx}$ となるのと同じ理屈)。重回帰では $S_{jj}$ の代わりに固有の変動 $S_{jj}(1 - R_j^2)$ が分母に入り、 $$ V[\hat{\beta}_j] = \frac{\sigma^2}{S_{jj}(1 - R_j^2)} = \frac{\sigma^2}{S_{jj}} \times \frac{1}{1 - R_j^2} $$ となる。$\sigma^2 / S_{jj}$ は、$x_j$ が他の説明変数と全く相関していない($R_j^2 = 0$)ときの分散である。つまり $\dfrac{1}{1 - R_j^2}$ は、「他の説明変数との相関のせいで、$\hat{\beta}_j$ の分散が何倍に膨らんだか」を表しており、これが「分散拡大要因(Variance Inflation Factor)」という名前の由来である。
    例えば $R_j^2 = 0.9$ なら、$x_j$ の変動のうち固有の部分は1割しか残らないため、分散は10倍(標準誤差は約3.2倍)に膨らむ。推定が不安定になり、係数の符号が直感と逆になったり有意にならなかったりしやすくなる。

    他の選択肢の用語

    決定係数 $R^2$ は、目的変数の変動のうち回帰モデルで説明できる割合を表す指標で、モデル全体の当てはまりの良さを見るものである。説明変数どうしの関係を直接表すものではない(VIFの計算に使う $R_j^2$ は、目的変数ではなく説明変数 $x_j$ を他の説明変数で回帰したときのもので、別物である)。
    ダービン・ワトソン比は、隣り合う残差どうしの相関(系列相関)の有無を確認する統計量で、主に時系列データで誤差項の独立性を調べるのに用いる。
    回帰係数の標準誤差は、推定した回帰係数のばらつき(推定の精度)を表す量である。多重共線性があると大きくなりやすいが、標本サイズや誤差分散の大きさにも左右されるため、その値だけでは多重共線性の程度を判断できない。
  5. Q5 · 準1級 · 計算 · 一問一答

    ある重回帰分析において、説明変数 $x_1$ を他の説明変数で回帰したときの決定係数が $R_1^2 = 0.75$ であった。このときの $x_1$ のVIF(分散拡大要因)を求めよ。

    答え

    4

    解き方

    $$ \mathrm{VIF}_1 = \frac{1}{1 - R_1^2} $$
    $$ \mathrm{VIF}_1 = \frac{1}{1 - 0.75} = \frac{1}{0.25} = 4 $$
  6. Q6 · 準1級 · 暗記 · 4択

    時系列データに回帰分析を適用する際、誤差項が互いに独立であるという仮定が崩れて生じる「系列相関(自己相関)」の有無を確認するためによく用いられる統計量として、正しいものはどれか。
    • ダービン・ワトソン比
    • 決定係数 $R^2$
    • VIF
    • 標準偏回帰係数

    答え

    ダービン・ワトソン比

    ダービン・ワトソン比の目安

    ダービン・ワトソン比は隣り合う残差どうしの関連の強さを表す統計量で、系列相関が全くない場合はおよそ2に近い値をとる。値が0に近いほど正の系列相関が、4に近いほど負の系列相関が強く疑われる。系列相関があると、回帰係数の標準誤差の推定が不正確になり、検定結果の信頼性が低下する。

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